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「いい親でいたい」の正体
「いい親でいたい」の正体 ― 認知的不協和と子育ての選択 いい親でいたい。 そう思わずに子育てしている人なんて、きっといない。 でも、その「いい親」の理想像に近づくために、毎日たくさんの選択を迫られますよね。 たとえば── YouTubeは見せたくない と思っていたのに、疲れて今日は見せてしまった。 子どもが自分から楽器の練習に向かうようにしたい のに、「今やらないとレッスン間に合わない!」と声をかけてしまう。 理想と現実がぶつかる瞬間、ありますよね。 「完璧な選択をした」と思い込むことで心を守る 私は、選択に迷ったとき、あえて 「完璧な選択をした」と思い込む ようにしています。 心理学ではこれを 「認知的不協和の回避」 といいます。 人は、心の中で矛盾が生まれたとき、それを埋めようとする生き物。 認知的不協和の例 ケース① YouTubeは見せたくない vs 今日は疲れてるから見せて休みたい → 親が疲れている時、子どもに動画を見せるのは「悪」ではない。 必要な休息だったという選択だって、十分 完璧 。 ケース② 子どもの自主性を育
東 由香梨
2 日前読了時間: 3分


「違い」を力に変える
「違い」を力に変える 〜画一的な教育から抜け出すために〜 今回のテーマは「違いを力に変える」です。 日本の教育は、長い間「同じようにできること」が良しとされてきました。 同じタイミングで同じ課題をこなし、同じ答えを導き出すこと。 それが「できる子」の証とされる風潮は、今もなお根強く残っているように感じます。 しかし、その結果どうなっているでしょうか。 「みんなと同じでなければ不安」「少し違うと浮いてしまう」そんな空気の中で、子どもたちは自分の“違い”を隠すようになっているのではないかと思います。 けれど、音楽の世界では違いこそが“個性”であり、“表現の原点”です。 少し独特なテンポの取り方も、柔らかい音色も、他の誰にも真似できない感性の証です。 それを「みんなと違うから直そう」と言ってしまったら、その子の一番の魅力を消してしまうことになります。 講師として感じるのは、 「違いを認める教育」こそが、子どもの可能性を最大限に引き出す鍵だということです。 そのために私たち教育者がすべきことは、「型にはめないこと」。 決められた枠からはみ出す勇気を持つこ
東 由香梨
5 日前読了時間: 2分


子どもには「夢の世界」がある
子どもをレッスンするうえで、大人が知っておかなければならないこと。 それは 子どもには「夢の世界」がある ということです。 「四分音符」「3度」などの楽典、 季節について学ぶことももちろん大切です。 でも子どもは、 頭で理解する前に、体で感じて吸収する存在。 無意識に一緒に声を出して歌ったり、 音楽が流れると体が勝手に動いたり。 子どもは、自分の内側に湧き上がるものに反応せずにはいられません。 そしてその “体験” があるからこそ、 やがて理論や技術にも自然と向かっていきます。 例えば、ヴァイオリンのボウイングを教えるとき。 「弓を動かすときは、力を入れないように」 と説明するよりも、 「手のひらに、卵が入っているよ。 落とさないように、壊さないように、そ〜っと持ってみて。」 と伝えるだけで、 子どもの吸収力は驚くほど変わります。 子どもは ファンタジーの世界の住人 です。 その世界に存在しながら、字や数字、音楽や絵を学んでいきます。 だから講師には、 子どもの想像力に寄り添って教えていくことが求められる。 レッスンの中でプリンセスごっこをす
東 由香梨
11月6日読了時間: 2分


音楽を続ける力はどうつける?
小さな「できた!」が、音楽を続ける力になる ある日、レッスンで小さな女の子が涙をこぼしました。 思うように弾けず、何度やっても同じところで止まってしまったのです。 けれど先生が「ここまで弾けたね。今日はこの一小節だけを練習しよう」と声をかけると、少しずつ表情が和らぎ、最後には「できた!」と笑顔になりました。 この「できた」の瞬間こそ、子どもにとって大きな宝物です。 小さな一歩の積み重ねが、やがて“続ける力”へと変わっていきます。 音楽を長く続けられる子どもたちに共通しているのは、特別な才能ではありません。 日々の中で、こうした“小さな成功体験”を積み重ねていることです。 そしてその背景には、いつも寄り添ってくれる大人の存在があります。 練習したくない日があっても、「じゃあ一緒に5分だけやろう」と声をかけてくれる人がいることで、子どもは「やってみよう」という気持ちを取り戻せるのです。 ただ楽しいだけでは物足りず、ただ厳しいだけでは苦しくなってしまう。 遊び心のある活動と、努力が実を結んだときの喜び。 その両方を味わえるバランスがあるからこそ、子ども
東 由香梨
11月2日読了時間: 2分


子どもに任せる育て方
子どもに任せる育て方 〜“自分で決める”経験が育てる力〜 今回は「子どもに任せる育て方」について考えてみたいと思います。 子どもの中には、次のような2つの考え方を持つタイプがいます。 A. 自分の運命は自分が決めていると思う子 B. 自分の運命は外的な要因で決まっていると思う子 この2つの違いは、子どもの行動やモチベーション、そして幸福度にも大きく関わります。 Bのタイプの子は、どうしても受け身になりやすく、「どうせやっても無駄」「できないと怒られるから仕方なくやる」と感じてしまうことが多いです。 そのため、いくら親や先生がサポートしても、なかなか成果につながらないこともあります。 一方でAのタイプの子は、「自分の行動で周りの世界を変えられる」と感じた時に、驚くほどの集中力と成長を見せます。 実際、「宿題をする・しない」を自分で決めた子どもの方が、 幸福度が高く、ストレスが少なく、人生で成功しやすいという研究結果もあるそうです。 親や先生が「任せること」を難しく感じる理由 とはいえ、子どもに任せるのは勇気のいることです。 親や指導者の中には、こん
東 由香梨
11月1日読了時間: 3分


子どもの才能はどう見つける?
子どもの才能は、日常の中にかくれています 「うちの子にはどんな才能があるんだろう?」 そんなふうに考えたことはありませんか? 才能というと、特別なものや目に見える結果を思い浮かべがちですが、実は子どもの才能は、もっと身近なところにあります。 それは、日常の中にある小さな「好き」や「得意」の中に、そっと隠れているのです。 たとえば—— 時間を忘れて夢中になる遊びがあるとき。 苦手そうに見えても、何度も挑戦しようとするとき。 自分なりに工夫して、もっと良くしようとする姿が見えるとき。 その瞬間こそ、才能の芽が顔を出しているサインです。 つい「お友だちより上手」「人よりもできる」という結果で判断してしまいがちですが、 本当に大切なのは その子自身が楽しんで取り組めるかどうか です。 「昨日よりできた!」「もっとやりたい!」と感じる気持ちこそが、才能を育てる大きなエネルギーになります。 私たち大人にできることは、とてもシンプルです。 いろいろな体験の機会をつくること 小さな「できたね!」を一緒に喜ぶこと 結果よりも、取り組む姿勢を認めてあげること...
東 由香梨
11月1日読了時間: 2分


子どもの成長を“未来から”見つめる
未来が過去を変えるとしたら 〜子どもの成長を“未来から”見つめるという視点〜 「未来が過去を決定し、現在を生成する」少し不思議な言葉ですが、これは“過去が現在をつくる”という一般的な考え方とは逆の発想です。 この言葉が伝えているのは、 未来の自分の在り方が、過去の出来事に新しい意味を与え、今の行動を形づくる ということ。 たとえば、これまで「うまくできなかった」「注意された」と感じていた経験も、未来の目標や夢が明確になった瞬間に、「あの時の努力があったから今がある」と意味が変わります。 未来の自分をどう描くかによって、 過去の出来事の価値は変化していく のです。 音楽の学びも、未来から見つめてみよう レッスンでも、つい「過去の練習量」や「できなかった経験」を基準に、今の成果を判断してしまいがちです。 けれど、子どもの成長は“線”ではなく、“らせん”のように進むもの。 過去を基準に見ると遅く感じる成長も、 未来の姿を描いてそこから逆算して見ると、今の一歩が確かな意味を持ち始めます。 「この子は、どんな音楽を奏でるようになるだろう?」...
東 由香梨
11月1日読了時間: 2分


「ゴールは同じ」 ─ 子どもたちが進む道は一つじゃない
「ゴールは同じ」 ─ 子どもたちが進む道は一つじゃない 日々レッスンをしていると、「この時期までにこれをやっておかないと…」「この順序で覚えないと後で困る…」と、つい大人が決めた道に沿わせたくなることがあります。 でも、これまで多くの子どもたちを指導してきて強く感じるのは、 どんな道を辿っても 行きたいゴールが同じなら、ちゃんとゴールできる ということです。 子ども一人ひとり、学び方が違う ・ 1から順にコツコツ積み上げる子 ・ 興味があるところを飛び飛びで学び、あとから穴を埋める子 ・ まずは難しいことに挑戦し、後で基礎に戻って整えていく子 みんなバラバラのルートを歩いているように見えても、 向かっている方向は同じ。 怖いのは、 大人の決めた一本道しか与えず、 行きたい場所に辿り着けなくしてしまうこと。 ゴールを決めるのは子ども自身 「これをするにはこうじゃないとおかしい」 「基礎ができていないと変だから」 そんな言葉で子どもが選べるはずの未来を、 知らないうちに狭めてしまっていないでしょうか? どんな音楽を求めるのかは、本来自由なもの。 子ど
東 由香梨
10月29日読了時間: 2分


「ちょっと知ってる」が子どもの好奇心を動かす
─ 音楽を学ぶ原動力を育てるために ─ 先日読んだ本に、「好奇心を突き動かしつづけるのは知識であり、知識を得るには労力が必要」という言葉がありました。 大人になると、確かにその通りだなと感じますよね。 では、そもそも子どもの好奇心はどのようにして刺激されるのでしょうか? 調べてみたところ、好奇心が最も引き出されるのは “少し知っていること”に出会ったとき だと言われています。 好奇心が湧くのは「知りすぎ」と「知らなすぎ」の間 ・まったく知らないこと → 興味が向きづらい (“何を知らないか”さえ分からない状態) ・全部知っていると思うこと → もう知りたいと思えない その中間、 「これ知ってる!…けど、もっと知りたい!」 となる瞬間に、好奇心は一気に動き出します。 子どもたちは、その好奇心に突き動かされた瞬間に 思っている以上の力を発揮します。 好奇心が音楽の学びを強くする 音楽のレッスンでは、繰り返し練習して技術を身につけることが大切です。 しかしそれと同じくらい、 「もっと知りたい」「やってみたい」 と感じる場面をつくることが、継続の原動力に
東 由香梨
10月29日読了時間: 2分


ADHDを持つ子どものモチベーション誘導と「ご褒美」の関係
ADHDを持つ子どものモチベーション誘導と「ご褒美」の関係 私たちは「ご褒美を得たとき」だけでなく、「ご褒美を期待しているとき」にも快感を感じます。特に後者は、行動への意欲やモチベーション維持に大きく関わっています。 しかしADHDの特性をもつ子どもの場合 ご褒美をもらった瞬間:快感が強く得られる ご褒美を期待している時:快感が得られにくい という傾向があります。 そのため「先のために頑張ること」よりも、「すぐ結果が出ること」を好みやすいのです。受験勉強や貯金、長期的な習い事などは難しく感じやすく、逆に成果がすぐに見える活動では力を発揮しやすいと言えます。 これは決して悪いことではなく、お子さんのタイプのひとつです。 そこで大切なのが、 大きな目標を、小さく達成しやすい目標に分けること。 「ここまでしかできない」ではなく 「ここまでできたね!」と積み重ねていく声かけが、成功体験を増やし、やる気につながります。 達成できたことを一つひとつ一緒に喜びながら、前に進んでいけるといいですね。
東 由香梨
10月29日読了時間: 1分


楽譜を読めるようになる必要があるか?
「楽譜を読めるようになる必要があるか?」 この答えは、目的によって変わります。 以下、目的別で解説しますね。 【クラシック音楽を演奏したい場合】 楽譜は読めたほうが絶対に良いです。楽譜は「音楽の設計図」です。 特にクラシックは楽譜が細かく指示されていて、読めないと再現できない部分が多いです。 【ポップスを演奏したり、趣味で楽しむ場合】 この場合においては、絶対ではありません。 読めると便利という程度。耳で聴いてコピーする「耳コピ」で楽しむ人も多く、楽譜が読めなくてもある程度できます。 楽譜ではなくて、コード譜(C、G7、Amなど)や簡単なメロディ譜を読めるだけで世界が広がります。 ただ、譜面があれば、自分の好きな曲を自由に弾いたり、アレンジしたりする事も可能になります。 子どもがやりたい曲がクラシックなのか?ポップスなのか?によって楽譜の読み方も変わります。 「読めないとダメ」なのではなく、「読めなくてもできる事はたくさんあるけれど、読めると便利」 と捉えてください。 何年経っても「まだ楽譜が読めない」とヤキモキされる保護者もいらっしゃいますが、
東 由香梨
10月29日読了時間: 2分


子どもがピアノ練習を嫌がるのは自然なこと。親ができるサポートとは?
「今日もピアノを練習しない!」「やりなさいって言ってるでしょ!」 気がつけば親子バトルになってしまった…そんな経験はありませんか? 実は、ピアノの練習を嫌がるのは特別なことではなく、どのお子さんにもよくあることなんです。 なぜ子どもは練習を嫌がるの? 子どもが練習を嫌がる背景には、いくつかの理由があります。 成果がすぐに見えないから 同じことを繰り返すのが退屈に感じるから 「できない部分」を何度もやるのがストレスだから 集中できる時間が短いから 大人でも「なかなか結果が出ないダイエット」や「地味な作業」はつい避けたくなりますよね。子どもにとっての練習もそれと同じ。 怠けているわけではなく、成長段階として自然な反応なのです。 では、どうすれば練習を少しでも前向きにできるのでしょうか? ①短時間で区切る 一度に長くやらせるより、5〜10分を数回。 「もう少し弾きたい」と思うくらいで切り上げると効果的です。 ②遊び感覚を取り入れる 「3回間違えずに弾けたらクリア!」「今日はドの音探しゲーム」 遊びの要素を入れると、やらされている感が減ります。 ③成果を
東 由香梨
10月29日読了時間: 2分


当たり前にいる場所は、誰かが作ってくれた場所
会社の立ち上げ、教室の開業から一緒にやらせていただいて気付いた事があります。 今まで当たり前のように働いていた会社や、当たり前のように通っていた場所は、最初から完成系が存在していたわけではなく、誰かが「よし、作ろう!」と夢を描き、行動を起こし、並々ならぬ努力の末に完成された...
東 由香梨
2022年7月5日読了時間: 2分


子どもの「見て見て!」は大人になっても続く
ぬりえをしているのは、子どもではなく、お母さんである私です。 綺麗に塗り終わると、子どもたちに「見て見て!!」と言います。 この光景、多分通常は逆が多いですよね。 子どもがぬりえをして、お母さんに「見て見て!」と言う。 ...
東 由香梨
2022年7月4日読了時間: 2分


練習をしない子に伝えたいこと
「練習しないので、辞めた方がいいでしょうか」 「毎日やらないのであれば、音楽が好きじゃないのかもしれません」 という相談をよく受けますが、大抵の場合子供たちに聞いてみると 「辞めたくない。けれど、練習は嫌だ。でも、弾けるようになりたい」と言います。...
東 由香梨
2022年7月2日読了時間: 2分
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