

子どもには「夢の世界」がある
子どもをレッスンするうえで、大人が知っておかなければならないこと。 それは 子どもには「夢の世界」がある ということです。 「四分音符」「3度」などの楽典、 季節について学ぶことももちろん大切です。 でも子どもは、 頭で理解する前に、体で感じて吸収する存在。 無意識に一緒に声を出して歌ったり、 音楽が流れると体が勝手に動いたり。 子どもは、自分の内側に湧き上がるものに反応せずにはいられません。 そしてその “体験” があるからこそ、 やがて理論や技術にも自然と向かっていきます。 例えば、ヴァイオリンのボウイングを教えるとき。 「弓を動かすときは、力を入れないように」 と説明するよりも、 「手のひらに、卵が入っているよ。 落とさないように、壊さないように、そ〜っと持ってみて。」 と伝えるだけで、 子どもの吸収力は驚くほど変わります。 子どもは ファンタジーの世界の住人 です。 その世界に存在しながら、字や数字、音楽や絵を学んでいきます。 だから講師には、 子どもの想像力に寄り添って教えていくことが求められる。 レッスンの中でプリンセスごっこをす
東 由香梨
11月6日


音楽を続ける力はどうつける?
小さな「できた!」が、音楽を続ける力になる ある日、レッスンで小さな女の子が涙をこぼしました。 思うように弾けず、何度やっても同じところで止まってしまったのです。 けれど先生が「ここまで弾けたね。今日はこの一小節だけを練習しよう」と声をかけると、少しずつ表情が和らぎ、最後には「できた!」と笑顔になりました。 この「できた」の瞬間こそ、子どもにとって大きな宝物です。 小さな一歩の積み重ねが、やがて“続ける力”へと変わっていきます。 音楽を長く続けられる子どもたちに共通しているのは、特別な才能ではありません。 日々の中で、こうした“小さな成功体験”を積み重ねていることです。 そしてその背景には、いつも寄り添ってくれる大人の存在があります。 練習したくない日があっても、「じゃあ一緒に5分だけやろう」と声をかけてくれる人がいることで、子どもは「やってみよう」という気持ちを取り戻せるのです。 ただ楽しいだけでは物足りず、ただ厳しいだけでは苦しくなってしまう。 遊び心のある活動と、努力が実を結んだときの喜び。 その両方を味わえるバランスがあるからこそ、子ども
東 由香梨
11月2日


子どもの才能はどう見つける?
子どもの才能は、日常の中にかくれています 「うちの子にはどんな才能があるんだろう?」 そんなふうに考えたことはありませんか? 才能というと、特別なものや目に見える結果を思い浮かべがちですが、実は子どもの才能は、もっと身近なところにあります。 それは、日常の中にある小さな「好き」や「得意」の中に、そっと隠れているのです。 たとえば—— 時間を忘れて夢中になる遊びがあるとき。 苦手そうに見えても、何度も挑戦しようとするとき。 自分なりに工夫して、もっと良くしようとする姿が見えるとき。 その瞬間こそ、才能の芽が顔を出しているサインです。 つい「お友だちより上手」「人よりもできる」という結果で判断してしまいがちですが、 本当に大切なのは その子自身が楽しんで取り組めるかどうか です。 「昨日よりできた!」「もっとやりたい!」と感じる気持ちこそが、才能を育てる大きなエネルギーになります。 私たち大人にできることは、とてもシンプルです。 いろいろな体験の機会をつくること 小さな「できたね!」を一緒に喜ぶこと 結果よりも、取り組む姿勢を認めてあげること...
東 由香梨
11月1日


子どもの成長を“未来から”見つめる
未来が過去を変えるとしたら 〜子どもの成長を“未来から”見つめるという視点〜 「未来が過去を決定し、現在を生成する」少し不思議な言葉ですが、これは“過去が現在をつくる”という一般的な考え方とは逆の発想です。 この言葉が伝えているのは、 未来の自分の在り方が、過去の出来事に新しい意味を与え、今の行動を形づくる ということ。 たとえば、これまで「うまくできなかった」「注意された」と感じていた経験も、未来の目標や夢が明確になった瞬間に、「あの時の努力があったから今がある」と意味が変わります。 未来の自分をどう描くかによって、 過去の出来事の価値は変化していく のです。 音楽の学びも、未来から見つめてみよう レッスンでも、つい「過去の練習量」や「できなかった経験」を基準に、今の成果を判断してしまいがちです。 けれど、子どもの成長は“線”ではなく、“らせん”のように進むもの。 過去を基準に見ると遅く感じる成長も、 未来の姿を描いてそこから逆算して見ると、今の一歩が確かな意味を持ち始めます。 「この子は、どんな音楽を奏でるようになるだろう?」...
東 由香梨
11月1日


「ゴールは同じ」 ─ 子どもたちが進む道は一つじゃない
「ゴールは同じ」 ─ 子どもたちが進む道は一つじゃない 日々レッスンをしていると、「この時期までにこれをやっておかないと…」「この順序で覚えないと後で困る…」と、つい大人が決めた道に沿わせたくなることがあります。 でも、これまで多くの子どもたちを指導してきて強く感じるのは、 どんな道を辿っても 行きたいゴールが同じなら、ちゃんとゴールできる ということです。 子ども一人ひとり、学び方が違う ・ 1から順にコツコツ積み上げる子 ・ 興味があるところを飛び飛びで学び、あとから穴を埋める子 ・ まずは難しいことに挑戦し、後で基礎に戻って整えていく子 みんなバラバラのルートを歩いているように見えても、 向かっている方向は同じ。 怖いのは、 大人の決めた一本道しか与えず、 行きたい場所に辿り着けなくしてしまうこと。 ゴールを決めるのは子ども自身 「これをするにはこうじゃないとおかしい」 「基礎ができていないと変だから」 そんな言葉で子どもが選べるはずの未来を、 知らないうちに狭めてしまっていないでしょうか? どんな音楽を求めるのかは、本来自由なもの。 子ど
東 由香梨
10月29日


楽譜を読めるようになる必要があるか?
「楽譜を読めるようになる必要があるか?」 この答えは、目的によって変わります。 以下、目的別で解説しますね。 【クラシック音楽を演奏したい場合】 楽譜は読めたほうが絶対に良いです。楽譜は「音楽の設計図」です。 特にクラシックは楽譜が細かく指示されていて、読めないと再現できない部分が多いです。 【ポップスを演奏したり、趣味で楽しむ場合】 この場合においては、絶対ではありません。 読めると便利という程度。耳で聴いてコピーする「耳コピ」で楽しむ人も多く、楽譜が読めなくてもある程度できます。 楽譜ではなくて、コード譜(C、G7、Amなど)や簡単なメロディ譜を読めるだけで世界が広がります。 ただ、譜面があれば、自分の好きな曲を自由に弾いたり、アレンジしたりする事も可能になります。 子どもがやりたい曲がクラシックなのか?ポップスなのか?によって楽譜の読み方も変わります。 「読めないとダメ」なのではなく、「読めなくてもできる事はたくさんあるけれど、読めると便利」 と捉えてください。 何年経っても「まだ楽譜が読めない」とヤキモキされる保護者もいらっしゃいますが、
東 由香梨
10月29日


子どもがピアノ練習を嫌がるのは自然なこと。親ができるサポートとは?
「今日もピアノを練習しない!」「やりなさいって言ってるでしょ!」 気がつけば親子バトルになってしまった…そんな経験はありませんか? 実は、ピアノの練習を嫌がるのは特別なことではなく、どのお子さんにもよくあることなんです。 なぜ子どもは練習を嫌がるの? 子どもが練習を嫌がる背景には、いくつかの理由があります。 成果がすぐに見えないから 同じことを繰り返すのが退屈に感じるから 「できない部分」を何度もやるのがストレスだから 集中できる時間が短いから 大人でも「なかなか結果が出ないダイエット」や「地味な作業」はつい避けたくなりますよね。子どもにとっての練習もそれと同じ。 怠けているわけではなく、成長段階として自然な反応なのです。 では、どうすれば練習を少しでも前向きにできるのでしょうか? ①短時間で区切る 一度に長くやらせるより、5〜10分を数回。 「もう少し弾きたい」と思うくらいで切り上げると効果的です。 ②遊び感覚を取り入れる 「3回間違えずに弾けたらクリア!」「今日はドの音探しゲーム」 遊びの要素を入れると、やらされている感が減ります。 ③成果を
東 由香梨
10月29日
